2015年12月23日水曜日

ヒカシューのクリスマス 妄想の綱引き

妄想の綱引き

リトアニアでテイクアウトしたカライメイ族の食べ物キビナイ。
カムチャツカでイテリンメン人のキャンプでいただいた鮭のウーハー。
アルハンゲリスクから23時間乗ったレトロな食堂車のボルシチ。
モスクワの深夜レストランのフォルシュマークなる刻みニシンのパイ。
世界にはまだまだぼくの知らない魅力の味が山ほどある。
食べ物の妄想は人々を人間らしくさせてくれる。
音楽もしかり。見知らぬ楽器から紡ぎ出される異次元の旋律。
その妄想はとどまるところを知らない。
能の幽玄からシェークスピアの饒舌。アルタミラの洞窟からナスカの地上絵。
アマゾンに住むピダハンのハミングからエスキモーの喉声遊びカタジャック。
クマムシの外来遺伝子からアフリカコンゴの平和なボノボまで。
妄想の果てを行き来し、ぼくはひとり喉歌ホーメイを唸る。
豊かな妄想は人間を人間らしくし、ピースフルな響きそのものだ。
その一方、人々に死をもたらす危険な妄想が世界規模で蔓延しているのも事実だ。
原子力、遺伝子操作、金融システム、戦争。
ダメなことがわかっても止められないダークサイドの引力で、洗脳され日々労働に励んでいる。
世界の未来をみつめると、その妄想の先は地球の死だ。
この妄想の綱引き。最高の想像力で変えていけるとぼくは信じている。
まだまだ人間には使っていない力があるはずだから。
クリスマスの前々夜。
みなさんの妄想とぼくらの妄想の白いシャーマン力で世界の闇を照らしましょう。
ヒカシューの妄想クリスマスお楽しみください。

巻上公一

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